easyなCanSat作ってみた(と反省)
先日、easyなCanSatであるeasyCansatを作ってIoTLTで発表してきました
これの件を今日のIoTLTで話します~#IoTLT #M5Stack #CanSathttps://t.co/aI9Eih48Ks https://t.co/GGcsMmZLb2
— ユクロ (@kurokuro_dev) 2021年10月21日
発表スライド
CanSatとは
CanSatとは、教育目的で製作される模擬人工衛星をいいます
「模擬」であるため、実際に宇宙に打ち上げるわけではありません
CanSatの難しさ
このCanSatですが、製作に回路設計やプログラミングの知識等が必要であり、単に「宇宙に興味がある」人に 簡単に 作れるよ!とは勧めがたいのが現状です
何がeasyか
そこでM5Stackを中心にしたCanSatを作れば "簡単に" なるのではないかと考えました
具体的には以下の通りです
- M5Stackの使用
- 回路設計の知識が不要
- (UIFlowを使用すれば)プログラミングの知識が不要
- 組み立てガイド等のドキュメントを製作し、作るための情報に容易にアクセス cansat.unknownsky.net
コロナ禍での共同開発
下記は僕のCanSat製作に関する反省日記です
このeasyCansatですが、元々は所属サークルで作ろうと言い出したものなのですが、コロナ禍等の紆余曲折を経て出来上がりました
以下が簡単な経緯なので、コロナ禍のサークル活動(と自分の協調性のなさ)をみて今後の参考にしてもらえたらと思います
2020年5月:製作開始
私が所属していたのはハイブリットロケットを飛ばすことを主な目的としたサークルなのですが
ロケットを飛ばすことが主目的なため、CanSatの製作は下火にあり、作ったことのある先輩方も学年が大きく違う & コロナ禍で会えないので製作にまつわる技術はロステクの状態にありました。
そこで、自団体のCanSatをつくり、後輩に知見を残したいねということで私を含む4人程でCanSatの製作を始めました
2020年6月~7月:仕様の決定
ロステクしていたとはいえ、仕様決定の部分はロケットと共通する部分があり、割と順調に仕様が決定していきました
また、2020年8月に開催されるであろう能代宇宙イベントに出場したいねということで、出場がとりあえずの目標になりました
2020年8月:イベントの延期
目標にしていた能代宇宙イベントが11月に延期されることが発表されました
ただ、製作スケジュールの遅延やハイブリッドロケットの打上の都合上、延期後であっても出場は難しく、出場は諦めることにしました
この製作スケジュールの遅延は主に作業環境の不備が関係しており、以下のようなことがありました
- 活動場所(大学)がコロナの影響で入構制限がかけられており、気軽に集まることができない
- 工作設備(工具、3Dプリンター等)にアクセスできない
- 試作品を実際に触れず、ZoomのMTGでWebカメラ越しに見せるしかない
- したがって、「設計→実物を作ってみる→修正」のアプローチが取りづらく、実物が出来にくい
2020年10月~11月:再燃?
目標にしていた大会への出場は諦めたものの、別の大会への出場を目標とし、活動をしていました
しかしながら、大会の審査が迫るなか、出場させるCanSatとして実際に組みあがったものが出来ていないことから出場を断念することにしました
代わりに、初心に立ち返って後輩に知見を残すためのCanSatを作ることにしました
2020年12月:自由
大会の期日や規格に縛られないCanSatのアイデア出しが始まりました
個人的には期日に追われていたころより楽しいなと感じていました
2021年1月~:僕の暴走
しかしながら、前述のとおり、作業環境の不備による影響でCanSatの実物は依然として出来づらい(共有しづらい)状況にありました
幸いにも僕の自宅には3Dプリンタがあったり、M5Stackが転がっていたりしたので、僕は以前にも増して自宅での作業を増やしていきました
自宅での作業はだんだんとエスカレートし、最終的には、機体に関することも電装に関することも一人で決めたり作ったりするようになりました
本来は他のメンバーに「この設計を思いついたんだけど、どう?」と相談すべきだったのですが、
相談した先の状況(試作品を共有する)がボトルネックになっている以上、
相談するより先に一人で試して一人で実装、そして出来上がったものを他のメンバーに見せるといったループが自分の中で構築されていきました
2021年3月:空中分解
製作に関することが僕一人で完結するような形になり、他のメンバーへのタスクが次第になくなっていったことから、定期的に開かれていたMTGは次第に開かれなくなっていきました
連絡ツールとして使用していたSlackも、僕の一方的な報告のみになり、実質的な空中分解の状態に陥りました
~2021年10月:easyCansat完成
そんなこんなで空中分解したのち、僕はモチベーションが絶え絶えになりながらもCanSatを完成させました
ただ、当初の「後輩に知見を残す」という目的よりかは、空中分解して中途半端になったプロジェクトを終わらせるという目的の方が大きくなっていました
どうするべきだったか
どうするべきだったかに関して、僕は僕の中で結論を出せていません
実際に集まることが難しく、共用の工作機械が使えず、実際の製作物とその出来具合を共有することが難しい中、停滞する進捗に身を任せることが正解だったとは思えません
しかしながら、タスクを皆に振り分け、共同かつ円満にプロジェクトを進めていくことも(工作機械を使えない等の理由も相まって)できませんでした
まとめ
結果的には完成したCanSatですが、コロナ禍の難しさがあった中で製作したことを知っていただければ幸いです
宇宙・ロケット界隈以外では知名度の低いCanSatですが、このeasyCansatが少しでも知るきっかけになればと思います