3Dプリント造形物のための熱圧入の検証
はじめに
- 先日、初めてインサートナットを熱圧入した
初めての熱圧入 pic.twitter.com/ceUPD8qteQ
— ユクロ (@kurokuro_dev) 2020年2月1日
- インサートナットを使うにあたって、以下のようなことがわからなかったので検証した
- 熱圧入の方法
- 下穴の径
- 熱圧入時の温度
モデルの作成
- 基本的には以下のサイトを参考にして、モデルの作成、インサートナットの熱圧入をした
- 下穴の深さはインサートナットの全長の1.5倍、淵は面取りした
- Cura 4.4.1のShell > Wall line counts を4に設定した
熱圧入の方法
インサートナットを垂直に載せる
- 穴の淵を面取りしておくと載りやすい(写真撮り忘れた)
はんだごてで挿入する
- はんだごてはFX-601, こて先は1.6Dを使用した
インサートナットの全長の95%ぐらいが造形物の中に埋まったら、反転させて押し付ける
完成
検証
1. 下穴径の検証
- 使用したインサートナット: ビットインサート スタンダード SB
- ナットのメーカーのサイトに相手材参考寸法があったので、それを参考にしてテストピースを作った
所感
穴の径 | 所感 |
---|---|
Φ4.5 | ちょうどよい はんだごてを抜いた後の糸引きがない |
Φ4.0 | 多めの糸引きが発生(ねじ山のところに引っかかって使用不可になるレベル) |
Φ4.38 | 糸引きはΦ4.0に比べ少ないが、使用不可になるレベルではない |
Φ4.25 | 糸引きはΦ4.38に比べ少ないが、注意しないとネジ山に引っかかりそう |
- サイトの相手材参考寸法に合った通り、D1(ギザギザがない部分の直径)ぐらいに合わせると良さそう(+0.05 mmはPLA の熱収縮やら膨張やらで相殺されそう)
2. 熱圧入時の温度の検証
- プリント時の温度 + 10, 50, 100, 150℃にはんだごての温度を設定して熱圧入した
- 印刷に使用したPLA Carbonは230℃で印刷したので、実際には240, 280, 330, 380℃となる
所感
こて先温度 | 所感 |
---|---|
+10℃(240℃) | インサートナットと造形物の間に隙間が割と大きな空く |
+50℃(280℃) | ナットと造形物の間に隙間がやや空く |
+100℃(330℃) | ナットと造形物との間にほぼ隙間が空かず、強度も良さそう |
+150℃(380℃) | ナットと造形物との間に隙間が空かないが、造形物表面に余分な樹脂があふれ出る |
余談
- 上記のHackadayのサイトには金属の熱収縮でナットが取れなくなるとのことで専用のこて先を使用していたが、今のところは取れなくなることはなかった
- PLA Carbonだけでなく、普通のPLAでも下穴をD1、こて先温度 + 100℃(290℃)にしたところ、よさげな感じになった
まとめ
- 下穴の径はD1, 深さはナットの全長の1.5倍が一番よさそう
- こて先温度をプリント時温度 + 100℃にして熱圧入すると強度的にもよさそう
- 「よさそう」といった主観的基準でしかわかってないので、客観的、定量的に強度の評価とかしたい